遠い春の日

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そうだね。
10年前の春は、今とは少し違う思いだった。

東日本大震災はまだ起きていなかったし、
自分も今よりは若かったし。

若かった分、
人間というものがまだ見えていなかったから、
無益な期待もしたものだ。

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自転車の旅のようなものは、
啓蒙されてやるようなものじゃない。

本を読んで行きたくなったというのは別だろうが、
そういう人はもともとそういう傾向があるのだ。

行きたい奴は一人でも放っておいても行く。

イベントじゃないと走らない人は
もともと一人旅のようなものをしない人なのだ。

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これでも何十年かは自転車に関わる人々を
見てきたはずだが、
旅をする人としない人がわかるようになったのは、
ここ10年ぐらいのことだ。

自転車の旅は安全が約束されているとはいえないので、
気乗りしない人と走るのは避けたい。

そういうこともあって、
私は仕事で自転車に乗ることをほとんどしなくなった。

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おかしなことに、
互いにあまり自転車に乗る機会がなくなったとしても、
自転車で旅をしてきた人間とは関係が続く。

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まあ道楽だからいろんな方向がある。

ランドナーや旅の自転車に乗っているからといって、
志向的にも思想的にも同じであるとは限らない。

それぞれ好きな道を行けばいい。

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しかしだからこそ、
同じ道の上で出会った友はありがたいのである。

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ナマステ。ピース。