オーディオに戻ってきたのは

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最初に自分のオーディオらしきものを
揃えたのは20代の後半で、1988年頃のこと。

当時は今みたいなネットでつながった
中古品市場なんてなかったので、
掘り出し物がけっこうあった。

1970年代のアンプなどは、
5000円くらいでゴロゴロしていたものだ。

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そういうのを買ってきて、
CDプレイヤーだけは新品の普及機を買い、
とりあえず聴き始めたのであった。

アンプは中古だったので、
半年から1年くらい使ってると壊れた。

買い換えても安いから、
また5000円くらいの中古を買ってくる。

コンポーネント全盛期の70年代のものが中古品の主流で、
フロントはたいがいヘアラインのシルバー、
ボンネットなどは、ブラックかグレーだったな。

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スピーカーは当時はしりだったサラウンドリア用の
安物を買ってきて、これも新品でもペア5000円くらいだった。

何も知らないから、スピーカーケーブルも
ピンケーブルも、ラックも、
その辺りのものを適当に使っていた。

ところが、最初に買ったアンプは
車に運ぶのにもひと苦労したもので、
おそらく15kgくらいあっただろう。
たぶんメーカーは、パイオニアかビクター。

「重いものがいい」ということさえ知らなかった。

トランスなどの電源部にカネがかかっている
当時のアンプは、重さが性能のひとつの指標でもあった。

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そういう中古品で聴き続けているうち、
本人も知らぬまに耳が肥えてしまい、
同じような音を出すには、
新品だと10万近く出さなければならないということを知り、
まあ当時は仕事もたんとあったので、
新品アンプを買ってしまったのだ。

それが今回復活したサンスイのAU-α607DRというわけで、
新品で買ったと言ったって、
ありゃ確か1991年のことだから、
すでに27年も前だということになる。

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そのうちにスピーカーも一度音に感心したことのある
ヤマハの「テンモニ」(NS-10M)を買い求め、
ケーブルやアンプの設置台でも音が変わるということを知り、
徐々に泥沼にはまって行った(^ ^)。

しかし今ほどセッティングや制振のことが
わかっていなかったこともあって、
鉄筋コンクリートの角部屋で思い切り音の出せる
環境だったにも関わらず、
途中で一度オーディオのことを考えなくなった。

ちょうどその頃ランドナーを復活させたこともあってね。

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前回記事でも書いたように、
音を良くするのは次々と装置を買い換えなきゃならんのかと
思い込んでしまったのである。

それが要因のひとつ。

もうひとつは、「電源」のことだ。

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今日びのデジタル系アンプは省電力だが、
多くのアナログ系オーディオファンが好む伝統的な装置は、
たいがい消費電力が大きい。

サンスイの607のような中級機でも、
仕様表で200W以上の消費電力を示していることは
少なくない。

セパレートの大型機・高級機はもっと電力を食うことが多い。

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それが気になるようになったのだ。

1990年代前半の当時、
Nエネルギーによる発電にアレルギーを感じる人は
ごく一部しかいなかった。

チェルノブイリの事故の真相もほとんど伝わってなかったし、
この国の巨大システムも相当に
問題を抱えていることも知られてはいなかった。

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Nエネルギーで作られている電気で
思いっきりオーディオを愉しむ気がしなくなってきたのだ。

どこかに引っかかりがあって、
すっきりしない。

別にオーディオをまったく聴かなくなったわけじゃないが、
いつもそれが気になっていた。

Nエネルギーの電気は
そうしないで済むなら使いたくなかったのだ。
少なくとも音楽を聴くときには。

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そういう心理的な障壁がなくなったのは、
皮肉にも2011年以降だった。

忌まわしいあの巨大事故のあと、
中部地域に電力を供給していたNエネルギー発電所は
発電を止めた。

それでようやくまたオーディオをいじくる気になれたのだ。

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あの頃、「もうオーディオ道楽をやめた」という人もいたらしい。

私のやったことはその逆のことだが、よくわかる。

国内のすべてのNエネルギー発電所が
じきに停止したが、
「電気が足りないから節電しろ」とは誰も言わなかった。

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それでも、電気はあまり食いすぎないほうがいいという
感覚は身に沁みていたから、
2012年に買い求めた中古アンプは、
607DRよりも音質が良く、
なおかつより消費電力が少なく、
私の予算に見合うものと考えれば、
607MOS PREMIUM ぐらいしか選択がなかったのだ。

私が仕事場で使っているシステムは
この 607MOS PREMIUM が中核になっている。

いろいろ考え方があるだろうけど、
個人的にはオーディオの中心はアンプだと思っている。

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Nエネルギーによる電力システムは
もう目前に迫っているパラダイム転換のあとでは、
あっと言う間に廃れることになるし、
厄介この上ない副産物も、
一般に知られているよりはるかに高度な技術によって
無害化される可能性が高いと個人的にはみている。

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夜も更けた。

今日はこれくらいにしておこう。

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ナマステ。ピース。