私にとってランドナー的であること

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私事ではあるが、自転車を再開したのは1992年、
レストアしたランドナーで旅らしきものに再び出るように
なったのが、93年だった。

ランドナーは不遇の時代だった。

もともとはフリーランスのコピーライターであって、
そういう仕事の縁から、自転車のアクティビティと関係のある
観光の仕事も手伝わせていただくようになり、
それが最近まで続いていたが、
自転車に多くの人が目を向けるようになってからも、
ランドナーやシクロツーリスムというのは
なかなか理解してもらうことが難しかった。

しかし本来は、シクロツーリスムというのは
自転車のアクティビティの中でも
いちばん広い裾野を持っていておかしくないことだから、
ようやく今そういう時期になってきたのかなとも思う。

そういう、自転車社会学的な分析も
なかなか面白いのだろうけれど、
一人のサイクリストとしての私の思いは、
またちょっと別のところにある。

要するに、ただランドナーに類する自転車と、
その周辺に点在するものが好きなだけである。

私はサイクリスト(ツーリストという意味での)であるけれど、
同時にモータリストでもあって、
車やモーターサイクルを否定するために自転車に乗っているわけではない。

機会があれば、四輪車で草ラリーやダートラのような、
モータースポーツをやってみたいと思っているくらいだ。

約束はしないが、そのうちモーターサイクルの免許も取りたいと思っている。

資金的に余裕があるなら、四輪車の大型免許だって欲しいくらいだ。
牽引免許でバックの練習をすることを考えるとゾクゾクする。

もっと欲を言えば、軽飛行機の免許だって欲しい。

きりがないのでこの辺でやめる。

何が言いたいかというと、要するに乗り物好き、運転好きなのである。

   ◎

自転車の趣味は長いことやっていて、
私よりもよっぽど機械的なことには詳しい若い友人が、
近頃、「ラ」の世界にいっそう深く魅せられたようだ。

彼によると、ランドナーは旧くない、ということのようだ。

これには一理ある。
彼は300馬力ある車を駆って、
サーキットでもきちんと立派なタイムを出す男なのだが、
それだけ乗り物の限界性能を知っている人にとっても、
ランドナーは魅力的な乗り物なのだ。

1960年代や70年代の四輪車は、さすがにシャシー面などは
一般的に言って、今の車にはなかなか及ばない。

しかし自転車のハンドリングは、ある意味すでに完成してもいる。
そもそも四輪車と二輪車のハンドリングを比べるのも、
その特性上、意味がない話だけど、
しかし確かに、足し算も引き算もない
ハンドリング感覚があるというのは事実だろう。

   ◎

ランドナーには、いろんな魅力がある。
それをいろいろ書くと、一冊本になってしまうので、
ここではやめておくが、私にとっていくつかは、こういうことである。

●「何を」愉しむかよりも、「いかに」愉しむか。

●体験の量ではなくて、質を問う。

●人と比べない。競争から自由であれ。

●自転車で偉くなるな。馬鹿になれ。

●美の本質は謎である。

もちろん愉しみ方は、人によってそれぞれなので、
当然のことながら、私が上記のような考え方をとっているからといって、
人に押し付けるつもりは毛頭ない。

だから気の合う仲間としか出かけない。

無理をするほど立派な人間ではないからだ。
そういうふりをすることもまったくできないというわけじゃないが、
50歳になったので、もう面倒になった。

考えてみると、文章を書く仕事をする上でも、
だいたい上のようなモットーでやっているみたいだ。

私の本を読んでくださった方ならよくご存知だと思うが、
私は別に百科全書的に、あれこれと知識のある人間ではない。
いえ、知識が少ないことを自慢しているわけじゃないんだけどね。

身につけた知識や技能の量などに、
自己の存在意義を見出す心の状態も理解できるが、
そういうことには、私自身はとうの昔に疲れた。

文学系の人間なんて、そんなものである。

業界とかその種の世界に、凄い人脈があって、
「あの人、知り合いなんですよ」
というようなこともない。

ごくごく平凡な世界を生きている男に過ぎぬ。

ただ、友人には恵まれていると思う。

そう言ってはなんだが、皆無名だが、
いい奴、凄い奴ばかりだ。
そして大人である。

私にとっては、そういう連中と愉しくやってゆくための
道具がランドナーでもある。

だからランドナーに乗る人が増えてくれること自体は
とても良いことだと思うし、またうれしいが、
そのことと、私の勝手なライフスタイルとはあまり関係がない。
私の友人たちもたぶんそうじゃないかと私は思っている。
世間がどうであれ、私にとってランドナー的なものはランドナー的なのである。


<追記>
たいへん恐縮ですが、
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このブログ自体は更新を継続するつもりですので、
ご理解をよろしくお願いします。



The photo is one of my randonneuse.
Built maybe in the middle of 1970's in Japan.
Tubing is Reynolds531.

650A wheels, 100-120 over locknut,
Equipped with Simplex straight drop out end,
Strong Light P3 head set.